今回は、第三者視点による品質管理の仕組みを構築し、施工棟数が従来の約2倍となる年間約40棟へと拡大する中でも、増員・残業なく現場運営を実現している先本組様にお話を伺いました。
現場へ行くことが当たり前とされる業界の中で、なぜ「現場へ行かずに管理する仕組み」を選んだのか。さらに、川本様を中心に、どのようにリモートチェック体制を根づかせていったのか。
手戻り工事の削減、現場監督の業務効率化、お施主様への安心提供まで──。先本組様の新しい現場管理について、河瀬様、川本様にインタビューさせていただきました。
現場監督の課題
確認のためだけの現場往復が多く、時間的なロスに加え、交通事故などのリスクも抱えていた。
担当者ごとに確認精度に差があり、見落としや手戻りを防ぐための品質管理体制が十分ではなかった。
現場確認に時間を取られ、工程管理や職人対応など、本来注力すべき業務に十分な時間を割けていなかった。
現状と効果
現場確認のための移動負担を抑え、時間ロス・移動コスト・リスクを低減。
第三者視点によるリモートチェックにより、施工ミスや確認漏れを早期発見し、品質管理の精度が向上。
工程管理や現場全体のコントロールに時間を使えるようになり、施工棟数が約2倍に増えても増員・残業なく現場運営を継続。
まず初めに、会社について教えてください
〇河瀬様
先本組は昭和3年創業の会社です。もともとは大工業を中心に事業を行ってきましたが、時代の流れの中で公共工事の比重が高まり、長く公共工事を中心とした会社でした。
現在の住宅事業は、四代目社長が住宅分野に注力する方針を掲げたことをきっかけに始まりました。事業としては20年以上になります。
家づくりでは、デザイン性と機能性のバランスを大切にしています。見た目の美しさだけでなく、暮らしやすさや機能性を含めた住まいづくりを行っています。
普段の業務について教えてください
〇河瀬様
私は住宅事業の立ち上げとほぼ同じタイミングで入社し、立ち上げの段階から深く関わってきました。当時は建築の資格や専門的な経験がある状態からのスタートではありませんでしたが、だからこそ現場・お客様・社内それぞれの立場を学びながら、住宅事業に携わってきました。
現在は、建売住宅のプランニングをはじめ、住宅設備や仕様面の検討、事業全体の管理など幅広く担当しています。
Log Systemについては責任者を務めていますが、現在は川本をプロジェクトリーダーとし、日々の運用については基本的に一任しています。
〇川本様
私は営業のサポートや仕様決めの補助、SNSの広報などを担当しています。クロスや設備の仕様をお客様と一緒に決めるほか、Instagramなどの運用も行っています。
当社は社員8名ほどの小さな会社のため、それぞれが幅広い業務を担っています。
Log Systemについては、リモートチェックの担当として運用と管理を行っています。検査スケジュールの作成からチェックの実施、結果の取りまとめまでを担当し、最終的に河瀬へ報告しています。
また、各営業担当がお施主様へ施工状況を“ログウォーク(Log Walk/360度写真)”で確実に工事報告できているかの確認など、運用全体の管理も行っています。
Log Systemを導入された背景や理由について教えてください。
〇河瀬様
導入のきっかけは、現場監督の働き方を見直したいと考えたことでした。
現場監督はどうしても現場へ行きたがります。しかし、現場へ行くこと自体が目的になっていないか、以前から疑問がありました。移動には時間がかかりますし、車で向かう以上、事故のリスクもあります。万が一事故が起きれば、会社への影響は決して小さくありません。会社を維持していくうえでは、こうしたリスクを減らす視点も欠かせないと考えています。
そのため私は以前から、「できる限り現場へ行かずに管理してほしい」と考えていました。ただ、社内や現場からは「現場の状況を見なければ分からない」「現地に行かなければ管理はできない」と言われることも多く、それが業界の常識でもありました。
それでも、現場へ行かなくても管理できる方法はあるはずだと考え、ツールを探していました。当時は主流だった施工管理アプリの話も聞きましたが、機能が多すぎるものは現場で使いこなすのが難しいと感じました。普通の職人が使いづらい仕組みでは、定着しません。
その点、Log Systemは『360度写真の撮影』と『ビデオ通話に出るだけ』という手軽さも素晴らしく、現場に行かなくても状況確認や品質管理ができる仕組みでした。自社に合った現場管理の形だと感じ、導入を決めました。
Log Systemをどのように活用していますか?
〇川本様
品質と安全の管理を目的としたリモートでのジャストタイミングなチェックを中心に推進しています。
建築工程にあわせて、最適な12項目のチェックを設けており、それぞれのタイミングで現場状況を確認しています。
例えば基礎工事では、建物の配置が図面通りになっているかを確認するため、協力会社さんと必ず遠隔立ち会いチェックを行っています。
そのほか、下地やボードチェックは特に確認事項の多い工程です。断熱材の施工状況や、配管などの貫通部におけるテープ処理、必要な寸法が確保されているかなど、細かな部分まで事務所で集中しながら丁寧に確認しています。
品質チェック完了後は、確認内容をまとめた報告書を作成し、営業担当からお施主様へご報告しています。施工の進捗だけでなく、どのような品質確認を行っているかまでお伝えできるため、お施主様にも安心していただけていると感じています。
また、過去の施工記録を見返せる点も日々の運用に活かされています。
たとえば建売住宅で「ここにエアコンを付けたい」となった際も、過去の記録を確認することで、下地の位置や筋交いの有無を把握しやすくなりました。必要に応じて資料としてご案内できるため、アフター対応にも役立っています。
リモートチェックの体制はどのように作りましたか?
〇河瀬様
Log Systemを導入する際に、誰が品質チェックを担当するかという話になりました。
そこで川本に相談したところ、「私がやります」とすぐに手を挙げてくれました。川本は当時まだ入社して間もない頃でしたが、本人の意欲もあり、任せてみることにしました。
結果として、この判断は非常に良かったと感じています。
現場の監督や職人は、どうしてもこれまでの経験をもとに判断します。「こういうものだろう」「問題ないだろう」と見てしまう場面もあります。
一方で、現場とは異なる立場の人がチェックに入ることで、「本当にこのままで良いのか」という視点で確認することができます。経験や慣れに頼らない会社ルールでの確認ができる点は、大きな価値だと感じています。
以前、協力会社から現場監督の管理能力にばらつきがあると指摘を受けたこともあり、何とか改善したいと考えていました。すべてを個人の力量に委ねるのではなく、仕組みで補える部分は補っていく。そのうえで、細かな確認を得意とする人が品質チェックを担える体制は、非常に有効だと感じています。
導入後、どのように活用を進めてきましたか?
〇河瀬様
リモートチェックの仕組みを定着させるうえで、最も重要だったのは、リーダーを明確にすることだと考えます。
Log Systemの運用は川本をリーダーとし、権限を一任する体制にしました。現場に関わるメンバーにも「Log Systemに関する運用判断は川本の判断を絶対とする」ことを伝えました。
〇川本様
運用を始めてからも、最初からすべてが順調だったわけではありません。つまずくこともありました。そのたびに課題を整理し、原因を話し合いながら改善を重ねてきました。
週1回のミーティングを行い、工務の意見も取り入れながら、より現場に合った運用へと調整していきました。
また、社内だけでなく職人さんにも少しずつ取り組みを理解していただきながら、現場全体で運用が根づくよう進めていきました。
〇河瀬様
こうした改善を継続できたのは、川本のリーダーシップがあったからこそだと感じています。
現場・工務・職人を巻き込みながら運用を根づかせていくには、日々の積み重ねが欠かせません。そうした取り組みを会社として正当に評価していくことも、大切なことだと考えています。
職人さんへはどのように案内し、反応はいかがでしたか?
〇川本様
職人さんには、まず取り組みの背景や目的を丁寧にお伝えしました。新しい運用は、ただ「やってください」とお願いするだけでは定着しません。なぜ必要なのか、何のために行うのかを理解していただくことが大切だと感じています。
そのため、職人会を開き、Log Systemの取り組み内容や写真の撮り方について説明しました。撮影枚数についても数値で共有しながら、「もう少し頑張ろう」と具体的にお伝えしています。
また、お施主様と職人さんが直接関わる機会は多くありませんが、「こうして施工状況がお施主様へ伝わっている」ということも共有しています。自分たちの仕事がしっかりお客様に届いていると感じてもらうことも、大切なことだと思っています。
また、現場の意識にも変化が出てきました。
大工さんによって、現場の整理整頓や見せ方には差があります。きれいに保たれている現場もあれば、そうでない現場もあります。
Log Systemで現場の状況を共有することで、他の現場を見る機会が増えました。そうした比較が生まれることで、整理整頓や現場美化への意識も高まっていると感じています。
品質管理にはどのような変化がありましたか?
〇河瀬様
建築の専門家という立場ではないため、入社当時から「本当に正しいものをお客様に提供できているのか」という不安がありました。
その中で、現場監督だけに任せるのではなく、別の視点で確認する体制をつくれたことは、品質管理のあり方が変わる大きな転機でした。
現場監督は現場の当事者でもあるため、経験や慣れから「問題ないだろう」と判断してしまうこともあります。だからこそ、現場とは異なる立場で細かく確認する役割が必要でした。
実際にリモートチェックを始めてからは、下地の抜け漏れやエアコン用下地の位置間違い、天井下地の見落としなど、施工途中の段階で気づけるケースが増えました。
完成後に発覚して手戻り工事になるのではなく、途中で是正できるため、手戻りは着実に減ってきています。
見落としを防ぎながら工事を進められるようになったことで、品質管理の精度は大きく高まったと感じています。
現場監督の働き方や体制にはどのような変化がありましたか?
〇河瀬様
施工棟数は増えていますが、従来のやり方に比べれば、現場へ行く負担は大きく抑えられています。
毎回現場へ足を運ばなくても状況を確認できるようになったことで、社内で行うべき業務に時間を充てられるようになり、工程管理の精度も大きく向上しました。
施工棟数は以前の約2倍に増えていますが、現場監督の人数は増えていません。それでも残業なく現場が回っているのは、Log Systemによって現場管理のあり方そのものを変えられたからです。
また、川本がリモートチェックを担ってくれていることで、監督も安心して他の業務に集中できるようになりました。現場確認に追われるのではなく、技術的な判断や職人さんとの連携、工程全体のコントロールなど、監督にしかできない重要な業務へ注力できる体制になったと感じています。
log buildからのサポートはいかがですか?
〇川本様
導入当初より、log buildさんとは定期的に会議を行い、さまざまな相談をさせていただきました。
まずはlog buildの進め方を参考にしながら運用をスタートしました。マニュアルも多くご提供いただき、その中から自社に必要な項目を選び、不要なものを整理しながら、自社に合った品質チェック項目を整えていきました。
運用の中で困ったことがあれば、定例会のたびに相談していました。たとえば、職人さんの撮影枚数を増やしたいと考えた際には、職人さんごとの撮影枚数を確認・共有しながら改善を進めるなど、実際の運用に寄り添ってフォローしていただきました。
日々丁寧にフォローしていただいており、サポートにはとても満足しています。
マネージャーとして、Log Systemを導入した感想を教えてください
〇河瀬様
施工管理アプリにはさまざまなものがありますが、機能が多ければ良いというわけではないと感じています。実際に使う現場の人たちに合っていなければ、どれだけ優れた仕組みでも定着しません。
その点、Log Systemは必要なことに絞られていて、現場でも無理なく運用できる仕組みでした。自社のような体制には、非常に合っていると感じています。
また、毎回現場へ足を運ばずに状況を確認できるようになったことで、移動にかかる時間や費用、負担も抑えられています。そうした効果を踏まえると、導入費用以上の価値を感じており、導入して良かったと感じています。
少人数で現場を管理している会社や、現場確認の負担を減らしたい会社には、特に有効ではないでしょうか。
Log Systemを活用する会社が増えることで、失敗のない家づくりが日本に広がっていけば良いですね。
先本組は、昭和3年創業の工務店です。長年培ってきた技術と経験を礎に、地域に根ざした家づくりを続けています。
住まいづくりで大切にしているのは、自然素材の心地よさと、暮らしに寄り添う設計です。無垢材のぬくもりや素材そのものの魅力を活かしながら、ご家族ごとのライフスタイルに合わせた住まいを一棟一棟丁寧に提案しています。
また、自由度の高い設計でありながら、日々の使いやすさや機能性にも配慮し、見た目の美しさと暮らしやすさの両立を追求しています。
受け継がれてきた職人の技術力と、これからの暮らしに応える提案力。その両方を強みに、これからも地域に愛される住まいづくりを続けていきます。




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